COLUMN


Chihiro S. NEWアルバム

「The Chronicle of Mr. Chaos & Dr. Avant-Garde」

曲目解説


01.Happy Birthday To The Future (Dr. Avant-Garde)

07.Happy Birthday To The Ironical New World (Mr. Chaos)

2022.10.18 Progressive On Demand Studio にて


Chihiro S.(以下、C):いつ頃からかFacebookで、お誕生日の人のプレゼント用に、何となく曲を作るようになったんだな。

で、これは2020年のやつと2021年のやつかな。

このシリーズはもう10年くらいやってる気がする。2011年か12年くらいからやってるんじゃないかな、多分。

最初の頃はサズでチョコッと弾くだけだったんだけども、MEL9が入って━━

タロット続木(以下、T):メロトロンが入って━━

C:ベース弾いてダラブッカ叩くようになって(笑)。というような感じで、どんどん何か━━

T:作品化していった?

C:うん、プレゼントだけじゃもったいないのでCDにも入れとくか、と。

毎年これねー、ノープランで書き始めるんだけど、実はつらいんだよなー(笑)。

ま、逆に言うと毎年ノープランでHappy Birthday を、モチーフに使うというだけで、苦悩しながら作ってるという事を━━

T:(笑)分かってんのか?と

C:ま、褒めてほしいとも思わないが、「もう大変なんですから」っていう三平師匠的な(笑)。

私はアレンジャーとして、割と「追いつめられると何かできちゃう」タイプだと思うんだけど、編曲だけじゃなくてこれはメロディ/モチーフも書いてるからね。にもかかわらず毎回ノープランで挑み、しかも毎回わりと絶望と戦ってることを理解してほしい、みたいな(笑)

毎年「もう、今回こそ何も思いつかないかもしれない」って気持ちと戦いながら、なんか思いついてるという。

T:でもやっぱこのバースデイソングにChihiroさんのアレンジセンスが凝縮されていると思いますね。

C:まぁそういう意味では分かりやすいかもね。

T:らしさ、が一番出てると思う。リズムとか調性とか、「なんでこんなイントロつけるの?」とかそこら辺の持ってき方とか、発想が━━

C:そういう意味では、中の人が同じだからそういうクセも出てるんだと思うし、

だけれども俺の場合あまり楽器とか弾かないで編曲する方だから、手癖は出にくいんだよね。

T:手癖から作ってないですもんね。

C:わりと俺の場合たいていの曲は手癖で作らないからね。

(楽譜を)書いてから、各メンバーにスコアを送った後に自分のパートの練習を始めて、「あ、ここってこんな指使いになるんだ!」みたいなのを後悔することが多いからね(笑)。


08.Black Corridor (MABOROSHI PAGANZ)

2021.3.8 @まぼろしペイガンズ公式Facebook ページ他より抜粋


マイクル・ムアコックの「暗黒の廻廊(Black Corridor)」、冷凍カプセルに囲まれた宇宙船内で只一人起きてる男が、「どうも自分以外に人間がいるような気がする」と気付いたことを発端とし、話しが進むにつれ、「宇宙に出る時に大量に人を殺して宇宙船を乗っ取って出て来たらしい」ことがわかったり、次々に嫌な過去がボロボロ出て来る。

回り廊下を曲がった先は闇って話しで、展開と拍子の読めないウチの曲のタイトルに使わせてもらったりしているのだが━━

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Chihiro S.(以下、C):Facebookの過去の投稿をみると、2014年1月21日に、

「朝起きて、1曲分のヴァイオリン・パートを編曲。これが本当の朝飯前(笑)。曲は変拍子だらけのBlack Corridor」とある。

Black Corridorのヴァイオリン・パートって、そんなにチョチョイと書いたんだ? 凄いな、過去の俺(笑)。

続木さん、あの因業なパートは、こうして作られたようです。

タロット続木(以下、T):因業(笑)

C:このラインは弾かさせられたら、泣いちゃうレベルだよ(笑)

T:この時期の記憶がないんですよね…

C:俺は少し甦った。君は急遽加入されたので、当初はお休みの曲もあったんだ。で、半年を通じて段々埋めてったんだな。

T:2013年はゲスト扱いでしたからね。

C:で、5月が終わって、「正式にどうよ?」って打診したんだ。まあ、俺の中では最初のリハの段階で獲得枠になってたけどね♡


11.King Arthur (half PAGANZ)

初出:2018.8.19 @Facebook Notes

原題:Day 3 of 10 唄物としてのアーサー王〜Rick Wakeman - The Myths and Legends of King Arthur and the Knights of the Round Table


「アーサー王と円卓の騎士」は国内盤発売当時、FMで全曲流れたのを聴いたのが最初だったんじゃないかな?

編曲やヴァリエーションの作り方の巧みさに、随分感心した。すぐに中古でLPを買って、結構愛聴した。

その後'80年前後だったか、金がなくて売った。それ以来聴いてなかった。

そういう意味ではこのシリーズの選考基準にそぐわないわけだが、最近、「そう言えば当時NHKでアイス・スケートと一緒にやってるのを見たな、馬付けて滑ってるのはどうかと思ったが、もう一度見てみたいものだ」と思ったら、DVDがあった。

「う〜ん、ライヴだと左のヴォーカルの人、音程が甘いな、いや、PAモニター状態が悪いのか」

調べて見たら、左、後のGGのジョン・ウェザースが在籍したEYES OF BLUE/BIG SLEEP/Wild TurkeyのGary Pickford Hopkins

右はWARHORSEのAshley Holt

で、このツイン・ヴォーカルによるアーサー王、唄物として案外いいじゃないか! と気付き、sazで爪弾いて唄ってみる(笑)。なんかトラッドっぽくて良い感じ?

それだけでは何なので、続木さんにストリングス・パートやウェイクマンのシンセ曲芸弾きパートを振ってみる。しわ寄せを喰らった続木さんはヴァイオリン・コンチェルト状態だが、面白いアンサンブルに(笑)。これも9月に向けて特訓中だ。

ところで、「アーサー王と円卓の騎士」、2016年に再録音されている。ジャケはロジャー・ディーンによる新ジャケ。CD2枚組となる拡張版。頑張ってるとこと、AOR的な冗漫な唄物が増えたとこと両方あるものの、結構面白い。

改めて聴いてみて、ウェイクマン、<トリルを多用した速弾き>ばかりが取り沙汰されますが、曲の転調のさせ方や変奏の巧みさ/繋ぎの美味さなんか、もっと評価されてもいいと思ったり。考えたら、王道プログレ・スタイルを開発したのに近い人なんだね。日本だと'70年代に<エマーソンかウェイクマンか>ともてはやされた割に、'80年代以降注目度が下がったのは気の毒にも思う。>

私自身としてはアーサー王こそ久々に聴いたが、マーキーの事務所に時々あった新作のサンプルは聴いてた。デジタル・キーボード・サウンドが微妙ではあったが、それなりに楽しめた。地底探検の続編なんかかなり良かった。

'90年代になってVHSで出たTV番組「GAS TANK」の映像は度肝を抜かれた。日本で言うと「Hey ! Hey! Hey!」のような音楽ヴァラエティ番組をウェイクマンがトニー・アシュトンと共に面白おかしく司会しながら、ゲストにインタビューし、バックをウェイクマン的にアレンジして演奏。当時解散状態だったストロウブスを再編させたりと八面六臂の活躍だった。日本でこんなことが出来る人材は、残念ながら居まい。