COLUMN


篠 毅 遺作展  +  谷充央展

Euro-Rock Press今号でも告知したのだが、私が編集長時代に来日ミュージシャンの撮影を担当してくれていた、篠毅 氏の遺作展が開催される。

人物写真も出展されるのは、今回初となる。

今回 来日ミュージシャン 写真のデータのプリントアウトなどで協力させていただきました。

ちなみに初日、搬入/設置の手伝いも兼ねて 在廊する予定です。5時ぐらいまではいます。

「近年 デジタルデータがあればそれでいい」という スタンスの私でしたが、改めて 紙焼きを見ると、デジタルとは違う 深みのある味わいに感心したり。元々 ドラマ性のある写真がより伝わりやすくなったはず。

Euro-Rock Press今号/前号でも紹介されてはいるが紙面の都合上、 どうしても小さく白黒だ。この機会にぜひ 大判の写真を見てほしい。こんな機会は最後かもしれない。

ダグマー・クラウゼ/デヴィッド・アレン/クリス・カトラー/ヒュー・ホッパー/ダモ鈴木(DAMO'S NETWORK時)/ジョン・ウェットン等々。今となっては大半が鬼籍に入ってしまった。

そして 本来 撮っていた、特撮のような不思議な写真群も♡

名義上二人展になっているが内容は、大半 篠毅氏作品となっているそうです。

谷 充央 作品

篠 毅 遺作展  +  谷充央展

2024年4月13日~ 21日 (木曜休)

12:00-19:00

(初日 14時から 最終日 17時まで)

ぎゃらりー由芽(ゆめ)のつづき

0422-47-5241

三鷹市下連雀4-15-2101

アクセス:JR中央本線『三鷹』駅から徒歩6分

http://galleryyume.web.fc2.com/

篠 毅(しの たけし)

    1945年、東京生まれ。特殊写真家。1973年に篠 毅、崔 洋一、ヒロヤマガタ、五海ゆうじの4名でJIM設立。「事務所だからJIMでいいんじゃないかと思ったんだ(笑)」(篠 談)

    1980年に写真集『HARU』を出版。

    1990年代前半に兼六館出版に勤務、『中島葵全作品集 I 小さな劇場』、『中島葵全作品集 II もう片方の運動靴は咲き乱れる花の中に落ちている』(共に1993年)などの担当編集を務める。

    何年かに一度、写真展も開催していたが、Photoshopも使わずに特撮のような不思議で鮮やかな写真を提示しており、毎回驚かされた。

    2000年前後にはEuro-Rock Press誌で来日ミュージシャンの撮影を担当。ドラマ性の高いその写真は、他誌の追随を許さなかった。

    2022年11月16日 死去。(Chihiro S.記)


Chihiro S. NEWアルバム

「The Chronicle of Mr. Chaos & Dr. Avant-Garde」

曲目解説


01.Happy Birthday To The Future (Dr. Avant-Garde)

07.Happy Birthday To The Ironical New World (Mr. Chaos)

2022.10.18 Progressive On Demand Studio にて


Chihiro S.(以下、C):いつ頃からかFacebookで、お誕生日の人のプレゼント用に、何となく曲を作るようになったんだな。

で、これは2020年のやつと2021年のやつかな。

このシリーズはもう10年くらいやってる気がする。2011年か12年くらいからやってるんじゃないかな、多分。

最初の頃はサズでチョコッと弾くだけだったんだけども、MEL9が入って━━

タロット続木(以下、T):メロトロンが入って━━

C:ベース弾いてダラブッカ叩くようになって(笑)。というような感じで、どんどん何か━━

T:作品化していった?

C:うん、プレゼントだけじゃもったいないのでCDにも入れとくか、と。

毎年これねー、ノープランで書き始めるんだけど、実はつらいんだよなー(笑)。

ま、逆に言うと毎年ノープランでHappy Birthday を、モチーフに使うというだけで、苦悩しながら作ってるという事を━━

T:(笑)分かってんのか?と

C:ま、褒めてほしいとも思わないが、「もう大変なんですから」っていう三平師匠的な(笑)。

私はアレンジャーとして、割と「追いつめられると何かできちゃう」タイプだと思うんだけど、編曲だけじゃなくてこれはメロディ/モチーフも書いてるからね。にもかかわらず毎回ノープランで挑み、しかも毎回わりと絶望と戦ってることを理解してほしい、みたいな(笑)

毎年「もう、今回こそ何も思いつかないかもしれない」って気持ちと戦いながら、なんか思いついてるという。

T:でもやっぱこのバースデイソングにChihiroさんのアレンジセンスが凝縮されていると思いますね。

C:まぁそういう意味では分かりやすいかもね。

T:らしさ、が一番出てると思う。リズムとか調性とか、「なんでこんなイントロつけるの?」とかそこら辺の持ってき方とか、発想が━━

C:そういう意味では、中の人が同じだからそういうクセも出てるんだと思うし、

だけれども俺の場合あまり楽器とか弾かないで編曲する方だから、手癖は出にくいんだよね。

T:手癖から作ってないですもんね。

C:わりと俺の場合たいていの曲は手癖で作らないからね。

(楽譜を)書いてから、各メンバーにスコアを送った後に自分のパートの練習を始めて、「あ、ここってこんな指使いになるんだ!」みたいなのを後悔することが多いからね(笑)。



02.Introduction (MABOROSHI PAGANZ)

2022.10.18 Progressive On Demand Studio にて


Chihiro S.(以下、C):続木さんが入って2年目の時に「タロット続木は子役出身である」っていうナレーションを、仮面ライダーのテーマをバックに入れるというアイデアを思いついて、ナレーションの録音とかMixとかそういう作業をしたわけだ。

で、台本を書いているときに、この流れで話を進めるのには「子連れ狼」の演奏がメンバー紹介以前に終わっていないといけない、ということに気付いた。

要するに各メンバーを<来るべくして来た人材>と紹介して、「いやぁ僕も子連れ狼、橋幸夫の舞台版で出てます」って流れでまぁ来るべくして来た人材、っていうような流れだったんだ。

で、そのように持ってくるには、子連れ狼の演奏が終わっていないと話が分かりにくいだろう、と。でも逆に子連れ狼だけ冒頭曲ではバンドとして分かりにくいだろうと。

じゃあバンドの特性を表すために現代音楽的な、あるいはプログレ的な、あるいは変拍子がある、そういうような曲の演奏も終わっていないといけない。そこで急遽、短い曲を書くことになった。

タロット続木(以下、T):ゲネプロの直前に作って。

C:夜中に気付いて明け方までに書いた上、パート譜の整備も終わらせてメールで送った(笑)。各メンバーが割と簡単に弾けるような内容で、かつ、さっき言ったような要件を満たす曲っていうのを、組み立てたわけだな。

T:一晩で組み立てたってのもすごいし、ネタの構成のために必要に迫られて作った曲なんですよねこれ。

ライブの構成台本の流れ上必要だという事で作った曲、っていうのも面白いですよね。

C:その割にはいい曲だと思う(笑)。というか、追い込まれると結構仕事早いんだよね(笑)。

T:何にでも付けられますよね、Black Corridor につけるのが一番しっくりくる気がするけど、子連れ狼でもいいし、今回(2022年)のライヴみたいに黒犬でもいいし...... イントロダクションというよりも「まぼろしペイガンズのテーマ」と言ってもいいかもしれませんね。

C:まぼろしペイガンズがあの曲だってなると、どうなんだろうね?

やはり何にでも接着できるイントロダクションなんだろうな。

T:ライブの最初にコレをやってやれば・・・

C:何をやってもイケる気がするね。どんなに昭和歌謡っぽい曲でも、イントロにこれを持ってくれば何となく良かったりする(笑)。



03.Oyster Bay (Chihiro S.)

2022.10.18 Progressive On Demand Studio にて


Chihiro S.:この曲はラクリモーザの頃から何回かレコーディングしている。

最初のまぼろしペイガンズのCDでもやった。

「まぼろしペイガンズ / まぼろしペイガンズ」

発売日:2011年07月10日

規格品番:PRF-066

レーベル:POSEIDON Records

あれは圭一さんのソロをフィーチャーした感じだね。

あれも良かったんだけど、今回はソロに近い編成で、元のメロディにスポットを当てた感じでやってみたかったんだよね。



08.Black Corridor (MABOROSHI PAGANZ)

2021.3.8 @まぼろしペイガンズ公式Facebook ページ他より抜粋


マイクル・ムアコックの「暗黒の廻廊(Black Corridor)」、冷凍カプセルに囲まれた宇宙船内で只一人起きてる男が、「どうも自分以外に人間がいるような気がする」と気付いたことを発端とし、話しが進むにつれ、「宇宙に出る時に大量に人を殺して宇宙船を乗っ取って出て来たらしい」ことがわかったり、次々に嫌な過去がボロボロ出て来る。

回り廊下を曲がった先は闇って話しで、展開と拍子の読めないウチの曲のタイトルに使わせてもらったりしているのだが━━

・・・・・・・・・・・・・・・・

Chihiro S.(以下、C):Facebookの過去の投稿をみると、2014年1月21日に、

「朝起きて、1曲分のヴァイオリン・パートを編曲。これが本当の朝飯前(笑)。曲は変拍子だらけのBlack Corridor」とある。

Black Corridorのヴァイオリン・パートって、そんなにチョチョイと書いたんだ? 凄いな、過去の俺(笑)。

続木さん、あの因業なパートは、こうして作られたようです。

タロット続木(以下、T):因業(笑)

C:このラインは弾かさせられたら、泣いちゃうレベルだよ(笑)

T:この時期の記憶がないんですよね…

C:俺は少し甦った。君は急遽加入されたので、当初はお休みの曲もあったんだ。で、半年を通じて段々埋めてったんだな。

T:2013年はゲスト扱いでしたからね。

C:で、5月が終わって、「正式にどうよ?」って打診したんだ。まあ、俺の中では最初のリハの段階で獲得枠になってたけどね♡



11.King Arthur (half PAGANZ)

初出:2018.8.19 @Facebook Notes

原題:Day 3 of 10 唄物としてのアーサー王〜Rick Wakeman - The Myths and Legends of King Arthur and the Knights of the Round Table


「アーサー王と円卓の騎士」は国内盤発売当時、FMで全曲流れたのを聴いたのが最初だったんじゃないかな?

編曲やヴァリエーションの作り方の巧みさに、随分感心した。すぐに中古でLPを買って、結構愛聴した。

その後'80年前後だったか、金がなくて売った。それ以来聴いてなかった。

そういう意味ではこのシリーズの選考基準にそぐわないわけだが、最近、「そう言えば当時NHKでアイス・スケートと一緒にやってるのを見たな、馬付けて滑ってるのはどうかと思ったが、もう一度見てみたいものだ」と思ったら、DVDがあった。

「う〜ん、ライヴだと左のヴォーカルの人、音程が甘いな、いや、PAモニター状態が悪いのか」

調べて見たら、左、後のGGのジョン・ウェザースが在籍したEYES OF BLUE/BIG SLEEP/Wild TurkeyのGary Pickford Hopkins

右はWARHORSEのAshley Holt

で、このツイン・ヴォーカルによるアーサー王、唄物として案外いいじゃないか! と気付き、sazで爪弾いて唄ってみる(笑)。なんかトラッドっぽくて良い感じ?

それだけでは何なので、続木さんにストリングス・パートやウェイクマンのシンセ曲芸弾きパートを振ってみる。しわ寄せを喰らった続木さんはヴァイオリン・コンチェルト状態だが、面白いアンサンブルに(笑)。これも9月に向けて特訓中だ。

ところで、「アーサー王と円卓の騎士」、2016年に再録音されている。ジャケはロジャー・ディーンによる新ジャケ。CD2枚組となる拡張版。頑張ってるとこと、AOR的な冗漫な唄物が増えたとこと両方あるものの、結構面白い。

改めて聴いてみて、ウェイクマン、<トリルを多用した速弾き>ばかりが取り沙汰されますが、曲の転調のさせ方や変奏の巧みさ/繋ぎの美味さなんか、もっと評価されてもいいと思ったり。考えたら、王道プログレ・スタイルを開発したのに近い人なんだね。日本だと'70年代に<エマーソンかウェイクマンか>ともてはやされた割に、'80年代以降注目度が下がったのは気の毒にも思う。>

私自身としてはアーサー王こそ久々に聴いたが、マーキーの事務所に時々あった新作のサンプルは聴いてた。デジタル・キーボード・サウンドが微妙ではあったが、それなりに楽しめた。地底探検の続編なんかかなり良かった。

'90年代になってVHSで出たTV番組「GAS TANK」の映像は度肝を抜かれた。

日本で言うと「Hey ! Hey! Hey!」のような音楽ヴァラエティ番組をウェイクマンがトニー・アシュトンと共に面白おかしく司会しながら、ゲストにインタビューし、バックをウェイクマン的にアレンジして演奏。当時解散状態だったストロウブスを再編させたりと八面六臂の活躍だった。日本でこんなことが出来る人材は、残念ながら居まい。